チェロを弾く前にやること
【1】ツメを切ろう
弦を押さえる「左手」は短めに切りましょう。
「指の腹」で弦を押さえたときに、爪が邪魔をしてしまうためです。
楽器ケースにツメ切りを常備している方も多いです。
【2】演奏環境を整える
チェロを弾くための椅子や譜面台、譜面などを用意しよう。
慣れないうちは、チェロや弓は「最後」に出そう。
先に出してしまうと、椅子や譜面台の準備で楽器を傷つけてしまったりするからね。
- 準備は高価で壊れやすいものを一番「最後」に出す
- つまり、弓とチェロは一番最後に出します
譜面台に「譜面、チューナー、チューナーマイク、鉛筆、消しゴム」を置く
【3】チェロを置く
- チェロは座った時に「左側」においてください。
- エンドピンは未だ出しません。ひっかけて、楽器を倒してしまう可能性があるからです。
椅子の左側(向かって右)にチェロを置きます
【4】弓を用意する
まず、弓の注意点です。
弓の毛の部分(白い部分)は素手で「触らない」でください。
手の油がついてしまい、弦を引いたときに滑ってうまく弾けなくなってしまいます。[/char]
【4-1】弓を張る
弓を取り出したら、ねじを「時計回り」に回してください。
弓の中央部の「毛と竿の間隔」が「約1 cmくらい」となるところで試してみてください。
【4-2】松脂(マツヤニ)を塗る
松脂はその名の通り木の樹液からできています。
弓に擦り付けることで、摩擦熱により松脂を溶かして塗りこみます。
早くこすって摩擦熱で松脂を「溶かす」イメージです。
ですので、松脂を塗るときに「力を入れて」こするのはNG。毛を痛める原因になってします。
どれくらい、往復させればいいの?
新品や毛替えしたばかりの弓は、何十往復もしないと松脂がのらないけれど、
何回も使っている弓なら、3~5往復すれば十分。
塗りすぎても害はないんだけれど、音色がガサツく原因になってしまう。
人によって量の好みも違うので、いろいろ試してみてね。
【4-3】弓をチェロか譜面台の上に置く
弓を椅子の上に置くのは避けてね!
間違って座って、弓を折ってしまう可能性があるからね。
【5】チェロを調弦(チューニング)する
【5-1】チェロを膝の上に乗せて、エンドピンを伸ばす
【5-2】チェロを構えて調弦(チューニングする)
- 一番左の弦(A線)から高い順に、A→D→G→Cと合わせていく
- 4弦の調弦が一周したら、もう一周おこなう
- チューナーマイクを使うと、チューナーが周りの音を拾わないので便利
- チューニングの時は、「指板より」を弾いてください
一番左のA線から合わせていきます。
チューナーをONにして、A線を弾きます。
OKの状態になるように、テールピースについているネジを締めたり・緩めたりします。
<チューナーの見方>
■音が低い状態:チューナーに「♭」が点灯していたり、針が左側に寄っている状態です。
■音が高い状態:チューナーに「#」が点灯していたり、針が右側に寄っている状態です。
<テールピースでの調整の仕方>
■音が低いときは:ネジを「締める」
■音が高いときは:ネジを「緩める」
「OK」の状態になるようにA線⇒D線⇒G線⇒C線と合わせていってください。
ネジをどっちに回せばいいか混乱しちゃうんだけど…。
そうだよね。覚え方は2つあるので、参考にしてみてね。
■針の位置で判断
・チューナーの針の位置が「右」なら、ネジも「右」に回す。
針の位置が「左」なら、ネジも「左」に回す。
■音の高さ(♭、#)で判断
・音が「低」ければ、「高音の弦」に向かってネジを回す。(つまり左に回すことになる)
音が「高」ければ、「低音の弦」に向かってネジを回す。(つまり右に回すことになる)
そして、4弦終わったら、もう一度A線⇒D線⇒G線⇒C線と合わせてください。
先ほど合わせたはずなのに、ズレていると思います。
これは、弦楽器の構造上仕方のないことなのですが、一つの弦を調弦すると他の弦も影響を受けてしまうからです。
もう一度合わせてください。
<調弦の際、弓で弾く位置>
調弦するときに弦を弾く位置は「指板」寄りを弾いてください。
駒寄りで弾いてしまうと、高次倍音が増えてしまいチューナーが正確な値を出しにくくなります。
さぁ、調弦が終われば、練習の開始です!
やっと弾けるんだね。準備がこんなに大変だとは…。
うん、最初のうちは時間がかかるけれど、慣れるとすぐにできるようになるよ。
休憩するときにやること
- 休憩するときにはエンドピンをしまい、弓を緩めましょう
休憩の注意点は大きく2つあります。
①エンドピンをしまっておく
②弓を緩めておく
①は、休憩中にエンドピンをひっかけて楽器を壊さないようにするためです。
長時間離れる場合は、面倒でもケースに入れたほうが安心です。
②は、弓の保護です。まず弓の毛ですが、引っ張っている状態は「毛を消耗」させます。
また、弓を張った状態で落としたり踏んだりしてしまうと、弓が壊れる可能性がより高くなります。
使わないときは、弓を緩める癖をつけておきましょう。
実は、エンドピンはトラウマがあって…。
休憩中に友人のチェロのエンドピンに引っかかってしまい、盛大に転がしてしまったことがあるんだ。
ほんとうに土下座でしたね…。今でも夢に出てくるんだよ…。
■番外編
あまりお勧めはしないんだけど、椅子にチェロを立てかけるという置き方もあるよ。
見栄えはかっこいいんだけど、ちょっと安定しないから気を付けてね。
椅子に立てかける
チェロを弾き終わったらやること
- 片づけは高価なもの、壊れやすいもの一番「最初」にしまう
- つまり、弓、チェロを真っ先に片づけましょう
- 汚れを拭くタオルは、①楽器用タオルと②松脂用タオルの2種類を用意
- ハードケースの方は、家に帰ってからケースを開けて換気しましょう
弓の片づけ
①弓を緩めてください。
②竿の部分についた松脂を「楽器用タオル」でふき取ってケースにしまいましょう。
(注意:毛の部分は拭く必要はありません。ゴミをつけてしまい、滑るようになってしまいます。)
チェロの片づけ
①エンドピンをしまってください。
②弦についた松脂を「松脂用タオル」か「ティッシュ」でふき取ってください。
③楽器全体(弦以外)を「楽器用タオル」で拭いてあげてください。
(注意:「松脂用タオル」で楽器本体を拭いてしまうとベタベタになるため、タオルは2つに分けてください)
④ケースにしまいます。
(注意:ハードケースの方は、家に帰ったらケースを開けて換気をしてください。楽器には奏者の汗が染みこんでいるため、ケースに入れたままにすると「サウナ状態」になり、楽器が傷んでしまいます。)
その他の備品の片づけ
譜面台や譜面などを片づけてください。
お疲れ様でした。