【読了】あらためて、2CELLOSを振り返る

初めに

■2CELLOS知ったきっかけ
彼らを知ったのは、やはりYoutubeに投稿されたマイケルジャクソンのスムーズ・クリミナルだ。
2011年1月20日にYoutubeに投稿されたので、もう9年以上前のことになる。
ハイポジションをいとも簡単に弾く「超絶技巧」と、2本のチェロによる「ロック」はとても新鮮だった。
ただでさえ、可能性が広いと思っていたチェロを、さらに広げてくれた。

■日本では?
そのあと、いくつもの動画が投稿され、欠かさず見ていた。
日本で知名度が一気に上がったのは、NTTドコモのスマートフォンのCMだろう。
「チェロ」という楽器の知名度も高めてくれた。
チェロ教室の体験レッスンに2Cellosの動画をもって、「これを弾きたいんです」といった人もでたとか。

■武道館ライブ
そして、彼らの演奏を聴く機会として、2018年11月に武道館公演にいくことができた。
妻がチケットをプレゼントしてくれたのである。
演奏の迫力もすごかったが、ユーモア溢れるパフォーマンスがとても面白かった。
https://rockinon.com/news/detail/181776

■いまさらであるが、
2011年にYoutubeデビューして9年。
いまさらではあるが、2CELLOSを改めてちゃんと知ろうと思い、下記の本を読んみた。

率直な感想として、2CELLOSの生の声が聴ける本として、とても面白かった。
特に、なぜ彼らが「2CELLOS」を結成し「ロック」に挑戦した理由は、意外であった。
3つのポイントで紹介したい。

CROSSBEAT Special Edition 2CELLOS

3つのポイント

①クラシックのエリート街道を突き進んできた精鋭

ルカ

(表紙の右側)
1987/8/25生まれ。
5歳でチェロを始めた。父親がチェリスト。
水球の国の代表にも選ばれる。
2009年にクラシック界最高峰と呼ばれるルトスワフスキ国際チェロコンクールで優勝。

ステファン

(表紙の左側)
1986/6/15生まれ。
8歳でチェロを始めた。家族が芸術一家。
ロストロポーヴィチの最後の弟子。
2CELLOSを始めるまでは、シャイで女性に積極的にアタックできなかった。
25歳の時初めてマイケルジャクソンを聴く。
様々なコンクールで20回以上の優勝。チャールズ皇太子の前でも演奏。

うさぎ

2人とも根っからのクラシック育ち。ステファンが25歳までマイケルジャクソンを聴いたことがなかったのは驚き。

②たゆまない努力あって、今の活躍がある

ステファン「Youtubeでたまたまヒットした、と思う人も多いかもしれないが、そこに至るまでは努力の積み重ねがあった」

ルカ「みんな僕らが急に成功したって思っているんだけど、そうではないんだ。ここまで来るまでに小さい頃からたくさん練習してきたわけだし。時間を費やしてきたんだよ。家族も協力してくれたおかげ。」

ルカ「小さいころは練習しか考えられないほど練習した。一日8時間とか10時間も。そいう言うものだと思っていた。朝起きて考えることはまずチェロ。トップアスリートみたいなものだよ。」

ステファン「大きな犠牲を払っているということさ」

うさぎ

やはり、音楽家は練習・練習の積み重ねなんだね。精進します。

③チェロ業界の“限界”

ステファン「トップチェリストを目指して数々の国際コンクールで優勝したが心は満たされなかった。何か違うと感じて、クラシックのチェリストになるのとは違う道を進みたいとずっと思っていた。」

ステファン「ヨーヨー・マ以降、成功したチェリストは今のところいない。クラシック音楽のマーケットはすごく限られている

ステファン「クラシック界に残っても自分の居場所はなかったと思う。年を重ねれば重ねるほど、クラシックの世界に限界を感じるようになった。」

ステファン「クラシックに感じていた限界とロックのクラシックの垣根を取り払えないかという思いが2CELLOSを結成した理由だ」

うさぎ

トップのチェリストが、こんな限界を感じているとは知りませんでした。

番外編

・日本が大好き
ルカは岡山の倉敷にホームステイ経験、ステファンは日本人の彼女がいたので日本になじみがある。

・2人とも女性が大好き
この本には何回も女性の話が出てきます笑
ステファンが奥手だったのは意外。

・日本のことで今でも理解できないこと
「こうじゃなきゃいけない」というルールをかたくなに守ること

最後に

この本を読んで、改めて分かったのは「ひたすら努力をしてきた人たち」ということ。

そして、クラッシック音楽業界の限界という問題だ。チェリストの堤 剛さんの「チェロを生きる」という本の中でも、チェロ人口が増えれば増えるほど全体のレベルが底上げされるのは嬉しいが、昔に比べると突出した演奏家が活躍しづらいということを述べていた。トップチェリストであるルカとステファンだからこそ、これが切実な問題だったのだろうと納得してしまった。

しかし、現代にはYoutubeといった新たなツールが次々と開発され提供されている。これらを活用していくことで、音楽業界の限界というものも、なくなっていくのではないかと思う。

ところで、2CELLOSはロックから知ったのだが、彼らが弾く「クラシック」も数多くYoutubeに投稿されており、当たり前だが、とてもいい。

個人的に好きなのはステファンのハンガリアン・ラプソディ。(2011.3.11の東日本大震災の被害に遭った日本に向けて弾かれた。)
4:10の曲調が変わるところが見もの。

 

また、「ヴァイオリンのロック」といえばデヴィット・ギャレットは有名であるが、
2Cellosのおかげで「チェロのロック」を聴ける時代に生まれたのは、本当に恵まれている。

また、2Cellos以外には、インディーズのピアニストと、不動産者のアマチュアチェリスト、中古ピアノ店の店長が結成した「Piano Guys」もチェロが大活躍。
Cold Playのviva la vidaからTaylor SwiftのLove Storyにつながる気持ちのいい曲。
ピアノのJohn Shumidtの娘さんが歌っていたのを参考にしたとか。

 

うさぎ

Youtubeのある時代に生まれてよかったよ!