【書籍レビュー】チェロを弾くための初心者向け入門書を紹介します
うさぎ

ここでは、チェロに関する書籍を紹介し、うさぎが独断と偏見でレビューしていきます

初心者向け入門書

初心者のチェロ基礎教本 ~基礎をしっかり学んで確実に上達できる入門書!~

タイトル 初心者のチェロ基礎教本 ~基礎をしっかり学んで確実に上達できる入門書!~
表紙
紹介 筆者「はじめに」より抜粋

チェロの入門書は多くありますが、それらの多くはチェロの音を出すところから始まっており、チェロを演奏する前提となる身体的な部分、音楽の基礎部分にはあまり多く触れていません。
(中略)
呼吸のあり方、音のイメージがまず自分の身体、頭にあり、それをチェロという手段で表現するという過程を大事にしなければ、本当に美しい音色をチェロから奏でることは難しいのです。
多くのアマチュア演奏家の方は、この準備が不足していることが少なくなく、如実に表れる部分としては細かいパッセージで走ってしまったり、正しいリズムが刻めなかったりします。音楽の根源は呼吸、声、身体表現であり、チェロを演奏するということは、その身体表現をチェロという手段を通して音として発露することにほかなりません。
(中略)
右手の親指、左手のすべての指の鍛錬が重要になってきます。人によっては、腕を支えるトレーニングも必要です。これについても是非説明と紹介をさせていただきたいと思いました。
今回この本を執筆させていただくにあたり意識したことは「チェロで音を出す前の準備」について意識できるようになっていただけることを書くということです。
(後略)

構成 第1章:楽器と楽譜の基礎知識
第2章:右手の基礎トレーニング
第3章:左手の基礎トレーニング
第4章:曲を演奏するために
第5章:左手のポジション移動
第6章:チェロで演奏する名曲
概要 第1章
⇒チェロの各部の名称や楽器の購入、チェロの構え方など多くのイメージを使って紹介している。また、「チェロの演奏に必要な筋肉トレーニング」も紹介されており興味深い。
第2章:右手の基礎トレーニング
⇒ボウイングの練習について、ボウイングの原理を「チョーク」や「グラスハープ」に例えて説明していて感覚的にわかりやすい。また、単なるボウイングではなく「良い音」を出すための姿勢や、呼吸法なども紹介されていて、中上級者も大いに参考になる。
第3章:左手の基礎トレーニング
⇒フィンガリングについても、「左手の筋力アップのトレーニング」から紹介されている。まずは体の基礎を作ることが重要であることを丁寧に説明してくれている。
特にいろいろと問題になる「薬指」のトレーニング方法はとても参考になった。また、初心者が簡単に弾ける曲がいくつか紹介されており十分楽しめる。
ただし、指板に目印などを貼って音階練習する方法は解説されていない。
第4章:曲を演奏するために
⇒チェロ初心者が必ず弾くといってもいい「きらきら星」から説明されていて優しい。きらきら星をベースに、表現を変えた楽譜が何種類かあり練習もできるし楽しめる内容になっている。
第5章:左手のポジション移動
⇒2ポジ~4ポジ、ハーフポジションについて解説している。文章と楽譜だけなので、イメージがつきづらい。
第6章:チェロで演奏する名曲
⇒8曲が収録されていて、初心者から楽しめる内容になっている。あこがれのバッハ無伴奏の楽譜もあるので、どんな楽譜か見てみたい方も参考になる。
(エーデルワイス/鱒/花/浜辺の歌/グリーンスリーブス/東京音頭/バッハ無伴奏チェロ第一番~プレリュード~/ピタゴラスイッチオープニングテーマ~)
所感 音楽の初心者にもお勧めの書籍。
他の書籍では触れられない、身体の使い方などを丁寧に説明してあり、「よりよい音」を出したいと思っている中級者にもお勧めできる内容。
とくに「下準備」について丁寧に書かれており、チェロと長く付き合いたいと思っている人は手元に置いておいて損はない良書。
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EASY STUDY Vol. 13 チェロが弾ける本 ~チェロ初心者のためのとてもやさしい教則本~

タイトル EASY STUDY Vol. 13 チェロが弾ける本 ~チェロ初心者のためのとてもやさしい教則本~
表紙
紹介 従来のメソードにとらわれずにチェロを弾いてみたい人のための初心者向け教則本。
楽器の構え方、調整から、ボウイングの基礎、ポジションチェンジ等、図やクラシックの名曲を使って楽しくマスターできます。
構成 STEP1:演奏する前の準備
STEP2:音を出してみよう
STEP3:左手の使い方
STEP4:名曲で練習してみよう
STEP5:トラブル対処法と中上級者への一歩
STEP6:レパートリー集
概要 ヤマハから出版されている教則本。
STEP1
⇒チェロの各部の名称から、松脂やチューニングの方法が書いてある。また、指板の目印を貼って練習する方法もあり参考になる。
STEP2
⇒右手:ボウイングの練習用の楽譜が紹介してあり、その中に移弦の練習も含まれる。ただ、実際の写真が少ないのでイメージしづらいのが残念。
STEP3
⇒左手:フィンガリングについて。指板の目印を”仮想フレット”と呼んで楽譜と対応させて説明してくれているのでわかりやすい。第1ポジション以外に、中上級者の4ポジや親指を指板に乗せるハイポジの説明もあるので今後も長く使える本になるが、初心者には第1ポジションで十分だろう。
STEP4
⇒STEP6のレパートリー集に紹介されている曲について、小節ごとにどう弾くか書かれていてとても丁寧。しかし、冒頭から白鳥で、いきなりハ音記号。初心者にはかなり難しい。
STEP5
⇒左手と右手で困ったときに参考にする内容が書かれている。弓を持つ手が疲れてしまうときに弓にスポンジを巻き付ける方法など参考になる。
STEP6
⇒レパートリー集として5曲の楽譜(チェロ・ピアノ伴奏付)がある。(トライメライ/白鳥/歌の翼に/シチリアーノ/愛の挨拶)。どれもチェロで弾くには魅力的な曲であるが、初心者には難しい。レッスンを受けて1、2年以上たってから挑戦したいところ。
所感 レッスンをこれから始めようとする人/始めた人の入門書としてよい。
ただ、写真などのイメージが少ないため、「レッスンを受けながら読む」ことを前提として書かれた本だと思われる。
全体的に文章が多いためイメージがしづらいのもその理由。
巻末にあるレパートリー集は、チェロなら一度は弾いてみたい曲が集まっているので、レベルアップしたときに役に立ちそう。
レッスンを受けながら参考にする本として参考にしたい。
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